こんにちは、ヒカルです。
先日、日課であるTwitterチェックをしていたら、
#容疑者Xの献身 というタグを見かけました。
「あぁ~今新作映画やってるから、前作観てる人が多いのかな?」
と思ったら、
どうやら数日前にテレビで放映されたようで。
Netflixを開いたらすぐに出てきたので、さっそく観てみました。
その後、タグをたどって色んなツィートを読んで
片っ端からいいねを押したり、
自分の中で盛り上がったので、備忘録として書いておきます。
この記事のほとんどはネタバレと独り言で構成されていますので、
ネタバレしたくない!って方や
有益な情報しか読みたくない!って方は、
そっとページを閉じて、よかったら他の記事を読んでみてくださいね!
観終わった直後の感想
さてさっそく、観終わった直後の感想はこの通り。
夕食後、一人で観始めて、23時半頃には終わったんですが、
もうね、、ツラい。ツラすぎる、、
殺人事件の話なので、晴れやかな気持にならないのは承知の上でしたが、
登場人物の設定から、展開、結末まで、予想以上にずーーんと来ましたね。
もう少し遅い時間から見始めたら、
かなりダークな方に引っ張られてた気がします。。
(それでも数日引きずりましたが)
登場人物のおさらいと粗々のあらすじ
詳しく語るにあたり、一応、おさらいを。
湯川(福山雅治)
大学で物理学を教える准教授。
大学の同期である草薙から、捜査に関して度々相談を受ける
草薙(北村一輝)
捜査一課の刑事。
難事件があると友人である湯川に協力を求める。
内海(柴咲コウ)
草薙の部下の刑事。
合理性に欠けた言動が多く、湯川とは対立しがち(原作には登場しない)
石神哲也 (堤真一)
人生に疲れた数学教師。湯川とは大学時代の友人。
湯川が天才と認める頭脳の持ち主であるが、
家庭の事情で大好きな数学の研究者になる道をあきらめた。
花岡親子の隣人。
花岡親子(特に靖子?)に好意を持っており、
彼女らの過ちを知り、隠ぺいの手伝いを申し出る。
花岡靖子 (松雪泰子)
花岡みさと (金澤美穂)
石神も通う弁当屋を営むシングルマザーと、その娘。
粗暴な前夫と揉みあった末、殺めてしまう。
石神の隣人。
前夫殺害を石神に気づかれてしまい、隠ぺいを手伝うという石神の指示に従う。
タイムラインに踊る「石神」「堤真一」
「映画版容疑者Xの献身と言えば、堤真一」と言ってもいいほど、
この作品を観た多くの人が、石神、そして堤真一のことを口にします。
彼の考え方や行動については、色々と意見が分かれるところだと思いますが、
まずは石神という人物の複雑さ。
そして、それを演じた堤さんの真に迫る演技がそうさせるのでしょう。
堤さんはジャンル問わずたくさんの作品に出ていて、どれも好きなのですが、
本作は特に凄みを感じましたね。。
ワタシ的見どころ
といったところで、急にワタシ的見どころ、
というかここを特に観てたよってところをご紹介。
①天才数学者・石神の人物像、堤真一の役作り
映画公開年の2008年当時、堤真一は44歳。
一般的には中年と呼ばれる年齢ではありますが、スラっとしていて、カッコイイ。
(58歳の今も渋くてカッコイイですが)
原作での石神は、38歳、髪の薄い小太りの不細工、という風に描かれているため、
キャストが発表された当時、原作ファンからは「かっこよすぎる」とケチが付いたとか。
でもそこはさすが人気俳優、「人生に疲れた冴えない男」を見事に演じています。
実は堤真一、役作りのために自ら髪を抜いて、わざわざ増量して撮影に挑んだそう。
これを知った時は、「これが俳優、、、、!!」 となりました。
②ささやかな幸せをつむぐ隣の親子と石神の関係
映画は、早朝、仕事に出かける隣人が娘に呼びかける声で、石神が目を覚ますところから始まります。
おそらく、訪ねてくる友人や家族もなく、一人孤独に暮らしていた石神。
アパートの薄い壁越しに聞こえてくる、仲良く暮らす明るい声に、
救いにも似た気持ちを抱いていたのかもしれません。
私が以前住んでいたアパートの一階に、小さな子供のいる家族が住んでいて、
休みの日にベランダに出ると、子供のはしゃぐ高い声が聞こえてきて、
めちゃくちゃ癒されてたのを思い出しました。
石神は靖子の営む弁当屋にも通っていましたが、あまりスムーズには世間話もできない様子。
のちに湯川が、彼の何気ない一言から、彼が恋をしているのだと気づきますが、
そのシーンに至るまでは、彼の好意が恋愛感情と呼ぶようなものなのかどうかは、
私は掴めませんでした。
③湯川と石神、二人の天才の静かな攻防と心の動き
二人は類まれなる頭脳を持ち、学問にのめりこむ学生生活を送っていました。
その熱心さゆえ、周りからは変人とみられることもあったでしょう。
そんな二人ですから、学生時代に出会ったあとは、
お互いによき理解者として交流を深めていったことが推測できます。
石神の部屋で楽しそうに酒を酌み交わし、十数年ぶりの再会を喜ぶ姿から、
二人の心のつながりの深さがうかがえます。
再会を喜んだのもつかの間、口には出さないお互いの思いに気づき、
再び別の道を歩かざるを得なかった二人のやり取りと、心の動きが印象に残りました。
④命の価値、優劣について考えさせられる
絶望と孤独の日々から救ってくれた人を助けるためとはいえ、
罪もない、全く無関係の人間に手をかけることに抵抗はなかったのか?
それ以外に方法はなかったのか?
少なくない数の視聴者が抱く感想でしょう。
作中、湯川が「彼は実際に自分が殺人を犯すタイプではない」という旨のことを言っています。
しかし実際には、歯の治療痕がわからなくなるほど顔をつぶしたり、
普通の精神の持ち主ならかなり負担になるであろうことをすべて一人こなしています。
「彼にとっては殺人の方が易しい」
湯川にそう言わしめた頭脳の持ち主ではあるが、罪の意識がないわけではない。
しかしそうまでして、花岡親子の日常を守りたかった。
どうせ一度は捨てようとした命だから、
この親子のささやかな生活を続かせるために、それを捧げようとした。
そういうことなんでしょうか。
それとも単に、ホームレスの命を、軽い、とみていたのでしょうか。
原作を読むにあたっての個人的注目ポイント
原作も読んでいる方々のツィートも読んでいると、
やはり原作の方が細かく描写されていたり、
映画では全く出てこないシーンや台詞、逆に原作にはないものがあるようです。
俄然原作も読みたくなったので、
注目して読みたいポイントをいくつか挙げてみます。
- 原作の石神と堤真一版石神との違いと一致度
- 石神が人生に絶望し、自死を選ぶに至るまでの経緯と描写
- 原作にはないとされる山登りのシーンの元はどう描かれているかと、その意図
- 石神が出頭した後の靖子とみさとの様子(ややショッキングとのうわさ)
- 意見の分かれるラストシーン(小説はどのような終わり方をするのか)
- 映画は原作に比べて美化されているらしいので、その違い
誰に感情移入するかで感想はがらりと変わる
冒頭のツィートで、石神に肩入れしてしまうと書いていましたが、
同じように思った人は少なくないと思うんです。
彼の感じた挫折や、周りから理解されないさみしさや、孤独、
代り映えのしない毎日を送る虚しさ、
明日への希望も見いだせないような閉塞感、
そういったものは、
経験を重ねた大人なら、少しは共感できるところがあるでしょう。
花岡親子の境遇もしかり。
「全く感情移入できない。関係ない人を巻き込んでひどいとしか思わない。」
といったツィートを見たときは愕然としましたが、
冷静に、客観的に見たら、その通りなんですよね。
私の場合、以前観た時より大人になったからか、
はたまた年をとって涙腺が弱くなったからか。
がっつり感情移入して観てしまいました。
だからこそ、もっといい方法はなかったのか、
こんなやり方じゃなくてよかったんじゃないか、と
やりきれなくて、苦しくて、
せめて原作には、彼が幸せだったと思えるような記述がたくさんありますように。
彼と同い年の私は、そう願わずにはいられないのです。
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